むし歯を防ぐには
むしばの原因は、昔から「糖分」「歯の質」「むし歯菌」の3つの構成要素で成り立っていると言われています。平たく言いますとお口の中のむし歯菌に糖分を与えるとむし歯が出来る、但し歯の質によってどのくらいのむし歯になるかは変わってくる。ということでしょうか。
では予防という立場から考えるとどうでしょうか?この3つの要素のうち一つでもかけるとむし歯は出来ないわけですが、現実的な話「むし歯菌」を口腔清掃やお薬の力ででゼロにすることは不可能です。もちろん徹底した歯磨きでその数を減らすことは出来ますし、それもある程度の効果はあります。
では糖分についてはどうでしょうか?食事によって口の中にもたらされた糖分がむし歯菌に渡るとむし歯菌は酸を出します。 この酸が歯の表面から大事な構成成分ののカルシウムを溶かし出します。これがむし歯の出来方なのですが、実はこの酸による攻撃が終わってしばらく経つと、歯の表面のカルシウムが溶け出した所に唾液中からカルシウム分が再度戻ってくる事が分かっています(ほんの初期のむし歯の始まりの段階のミクロな世界の話です)。
だからおおざっぱに言えば理想的な食生活では、朝食を食べる→むし歯になる→唾液が修復する 昼ご飯を食べる→むし歯になる→唾液が修復する 夕食を食べる→むし歯になる→唾液が修復する というサイクルを営んでいるわけです。
ところが、朝食を食べる→むし歯になる→唾液が修復しようとしている途中に再度間食をする→そこで再度むし歯になりお昼ご飯を食べる→さらにむし歯になる→唾液が修復するのが間に合わないために修復不能なむし歯が出来てしまうということになるわけです。
ですから、これに対抗するためには間食を避けることが大事です。もし甘い物を食べる習慣があるとしたら、食前、または食後すぐに食べるようにするとむし歯菌のアタックは食事と合算されるのでむし歯のなりやすさを抑えることが出来ます。
下記図のPh.7の所が安静時、食後Ph.が下がって(酸性に傾いて)5.5より下がると歯の表面からカルシウムが溶け出します。そして食事が終わってしばらくすると唾液の力で再度カルシウムが歯の表面に戻ってくるというわけです。
この一度カルシウムが抜けたところに再度カルシウムが戻ってくるまでの時間は個人によって差があり、これがむし歯のなりやすさ、なりにくさに関連しているわけですが、この唾液の緩衝能は残念ながら後天的に変えることが出来ません。
さてもう一つの要素である「歯の質」についてですが、これは持って生まれたものでどうしようもないのですが、唯一この質を改善する手立てがあります。それは、フッ化物の応用です。ですから歯磨き粉を選ぶときは必ずフッ化物(フッ化ナトリウムやモノフルオロリン酸ナトリウムなど)が入った製品を選んで下さい。そしてこれに頻回接触することが効果的ですから毎回の歯磨きでしっかり使って下さい。それによって歯の表面が酸に対して強くなり、むし歯になりにくくすることが出来ます。それでも足りない方は定期的に歯医者さんでフッ素を塗って貰うとかフッ化ナトリウム入りの含嗽剤を使うことをお勧めします。